MENU
MENU

Swingcrew
Marketing Memo Roomスウィングクルー マーケティング メモ ルーム

2026.07.23
AIへの聞き方を、あえて5層に分けて手間をかける理由

「生成AIに自社名が出てきた」。それだけで、自社がAIに正しく認識され、顧客の選択肢に入っていると判断してよいのでしょうか。

答えは、もちろん違います。

AIへの問い方は、ユーザーの状況によって大きく変わります。企業名を知っていて指名する人もいれば、まだ候補すら持たず、悩みや目的から探し始める人もいる。競合との違いを確かめたい人もいれば、特定の機能や条件に絞って探す人もいます。

たった一つ、二つの質問で「出た/出なかった」を測っても、見えるのはAI認識のごく一部にすぎません。

どのような聞き方なら現れ、どこで候補から外れるのか。その全体像を捉えるために、スウィングクルーではAIへの問いを「5層クエリ」として設計しています。

出発点は、「顧客が何を聞くか」

AIに自社が選ばれるかを調べる前に、まず考えるべきことがあります。

それは、顧客が実際にどのような言葉でAIに問いかけるのか、ということです。

たとえば、同じ美容クリニックを探している人でも、問い方は一様ではありません。

すでに名前を知っている人なら、「〇〇クリニックはどう?」と指名して聞くでしょう。まだ候補がない人は、「おすすめの美容クリニックは?」と広く尋ねます。目的がはっきりしていれば、「毛穴ケアに強いクリニック」、悩みが先に立っていれば、「肌荒れが治らない。どこに相談すればいい?」となるかもしれません。候補を絞り込んだ段階では、「クリニックAとBは何が違う?」という比較に変わります。

この違いは、単なる言い回しの差ではありません。顧客の認知度、関心、課題、そして検討段階の違いです。

AI認識を捉える5つの層

スウィングクルーの「5層クエリ」は、次の5つで構成されます。

第1層:指名(Branded)

企業名やブランド名を直接挙げる問いです。

「〇〇クリニックはどう?」

競争は比較的少ない一方、そもそも企業やブランドを知っている人しか、この聞き方はしません。ここでは、AIが自社を正しく認識し、適切に説明できているかを確認します。

第2層:メジャー(Major Category)

業界やカテゴリを広く指定する問いです。

「おすすめの美容クリニックは?」「主要なAIツールを比較して」

特定の企業を前提としない、ニュートラルな質問です。ここでは、業界を代表する候補として認識されているか、信頼できる選択肢として挙げられるかが問われます。

第3層:ニッチ(Niche / Specific)

特定のニーズ、機能、条件から絞り込む問いです。

「毛穴ケアに強いクリニックは?」「小規模チームに向くAIツールは?」

ここで名前が挙がる企業は、その領域における専門性や独自性をAIに認識されている可能性があります。

第4層:課題(Problem / Use Case)

ユーザーの悩みや、解決したいことから始まる問いです。

「肌荒れが治らない。どこに相談すればいい?」「営業効率を上げるには、どんなサービスが使える?」

企業名も業界名も出てこないため、実際の顧客獲得に近い重要な層です。自社がどの課題を解決する存在として認識されているかが表れます。

第5層:競合並走(Competitive)

複数の企業やブランドを並べて、違いや優劣を尋ねる問いです。

「クリニックAとBは何が違う?」「AツールとBツールなら、どちらが自社に向いている?」

ここでは、比較対象として同じ土俵に乗れているか、どのような強み・弱みを与えられているか、最終的にどちらが推薦されるかを確認します。

同じ企業でも、層によって結果は変わる

同じ企業を調べても、5つの層で結果が大きく異なることがあります。

たとえば、ある美容クリニックが、指名層やメジャー層では頻繁に登場する一方、課題層では競合ばかりを推薦されていたとします。

これは、「名前や業界内での存在感は認識されているが、具体的な悩みを解決する選択肢としては結びついていない」という状態です。この場合、単純にブランドの露出を増やすよりも、どの課題に対応できるのかを、実績や事例を通じて明確にすることが優先されます。

反対に、指名層では十分に説明されないものの、課題層では候補に挙がる企業もあります。

これは、課題解決力や専門性は認識されている一方、ブランドそのものの認知や情報が不足している状態です。必要なのは、専門性をさらに増やすことより、すでに評価されている能力と企業名を強く結びつけることかもしれません。

重要なのは、単純な出現率だけではありません。

どの層で強く、どの層で候補から外れるのか。

この差を見ることで、AIからの認識にどのような偏りや欠損があり、どこから改善すべきかが見えてきます。

「自社名を聞いたら出た」だけでは測れない

「ChatGPTに自社名を入れたら、きちんと回答された。だから問題ない」

こうした判断は、決して珍しくありません。しかし、指名クエリで自社が出るのは、ある意味では当然です。少なくとも、その問いを入力した人は、すでに自社の存在を知っています。

本当に確認すべきなのは、まだ自社を知らない人が、業界や課題についてAIに尋ねたとき、候補に入れるかどうかです。

一方で、課題クエリだけを調べれば十分というわけでもありません。特定領域での専門性や、競合比較における評価、指名された際の説明の正確さは、別の層を見なければ分かりません。

一つの聞き方で、AI認識の全体像を測ることはできないのです。

診断結果を、施策の優先順位へつなげる

5層で調査すると、結果はそのまま施策の優先順位につながります。

  • 指名層で弱いなら、企業・ブランド情報の整理と認知の強化
  • メジャー層で弱いなら、業界内での権威性や比較優位の明確化
  • ニッチ層で弱いなら、特定領域の専門性を示す情報の充実
  • 課題層で弱いなら、課題解決の実績、事例、対応領域の可視化
  • 競合並走層で弱いなら、競合との違いと、選ばれる理由の明文化

これは、単なるキーワードの追加やSEO上の調整ではありません。

顧客がどの段階で、どのような問いを立て、何を根拠に候補を選ぶのか。その流れに沿って、自社に関する情報を組み直していく作業です。

なぜ「複数の質問」ではなく、「5つの層」なのか

AIへの質問を一つに限定せず、複数のクエリで調べる考え方自体は、すでに珍しいものではありません。問題は、そのクエリをどのような基準で選ぶかです。

思いついた質問を数多く投げても、似た問いに偏っていれば、認識の空白は見つかりません。

ユーザーが問い方を変えるのは、気まぐれではありません。企業や商品をどこまで知っているか、何に困っているか、候補を比較する段階まで進んでいるか。その違いが、問いの形に表れます。

だからこそ、問いを検討段階に応じた5つの層に分けます。美容クリニックでも、SaaS企業でも、BtoBメーカーでも、メディアでも、この枠組みなら共通して適用できます。

「AIに出るか」を調べるだけではなく、どのような文脈で候補に入り、どこで選ばれ、どこで落ちるのかを構造的に把握する。

それが、スウィングクルーが5層クエリを用いる理由です。そして、特定のAIや一時的な表示結果に左右されず、企業のAI認識を継続的に捉えるための、私たちの基本的なアプローチです。

ページTOPへ戻る