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2024.03.06
Amazonは経済学者が「不可能」と考えていた市場の独占をどのように実現したのか?

近代経済学のモデルに基づけば、Amazonが多種多様なあらゆる製品の販売において市場を支配することは「不可能」だと考えられていました。たとえば、Amazonがある製品を原価を下回るほどの低価格で販売し、競合他社を排除して市場の独占を試みたとします。この場合、いずれAmazonは赤字に耐えきれず価格を元に戻すことになり、そうなれば他社は再び競争に復帰できると想定されます。

 

 

https://gigazine.net/

 

 

 

次に、Amazonが特定製品の赤字を別のビジネスによる利益で穴埋めし、恒久的に赤字状態を維持しようとした場合を考えます。この場合でも、利益率の高いビジネスの競合他社がAmazonより低い利益率でビジネスを展開することで、Amazonは利益率が高かったビジネスのシェアを奪われてしまい、結果的に赤字を穴埋めできなくなって価格設定を戻すと考えられていました。

 

ドクトロウ氏は、Amazonが経済学者らの予想に反して市場支配力を手にすることができたのは、「資本市場へのアクセス」を手にしたからだと指摘しています。一般的な事業者は商品を販売して得られる「利益」を追い求めていますが、Amazonは商品販売による利益ではなく、Amazonマーケットプレイスを利用するサードパーティーセラーから徴収する「地代」による利益を追い求めているとのこと。

 

まず、アメリカなどの先進国では大多数の世帯がAmazonを利用しています。Amazon Primeに加入しているユーザーの90%は、何らかの商品を購入する際にまずAmazonで検索するそうで、Amazonで販売されていない製品はそれらのユーザーにとって存在しないのと同じです。仮にAmazonでの売上が事業全体の10%を占めている場合、事業者にとってAmazonで販売できなくなることは大きな打撃となるため、Amazonは事業者から最大限の譲歩を引き出すことができます。このように、単一のプラットフォームがさまざまな商品の主要な購入者となり、市場を実質的に支配している構造のことをモノプソニー(買い手独占)と呼びます。

 

モノプソニーの状態となったAmazonは、個々の売り手から膨大な手数料を徴収することが可能です。ドクトロウ氏によると、Amazonが売り手から徴収するさまざまな手数料(ジャンクフィー)の総額は、製品の売上の45~51%に達するとのこと。つまり、ある企業が100円の製品を1個Amazonで販売した場合、販売した企業からAmazonに対してさまざまな形で45~51円の手数料が入るというわけです。また、Amazonは販売者に「価格の自動設定ツール」を提供していますが、このツールで設定できる価格は他社サイトの販売価格が上限となっており、販売者はAmazonでそれ以下の価格で販売することを強いられているとのこと。

 

ドクトロウ氏は、Amazonは「暴走する資本主義の申し子」であり、「利益」ではなく「地代」を稼ぐポスト資本主義の企業と化していると主張。一見すると、Amazonの通販プラットフォームは大勢の商人が集まったバザールのように見えますが、その実態はディズニーランドのバザールに並ぶ店がすべてディズニーによって運営されているように、複数の出店者をAmazonが完全に支配する構造になっていると指摘しています。

 

 

 

https://gigazine.net/

 

 

 

 

※本記事は、スウィングクルーがピックアップしているマーケティング関連ニュースのクリップです。スウィングクルーが発表しているニュースではございません。

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